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「陽につたう」 文学と汗 インタビュー

作品としてみようという意味で、知名度とか頼らない文芸誌。宮崎の町の人達が書いて、宮崎のまちの私達が読むことが何よりも読んでみようかなっていう気持ちになったりとかするかなと思って。

 

<nagi label + 文学と汗/CDと文芸誌>
「音楽と共に平穏を届ける」をコンセプトに音楽制作、ライブ企画などを手がけるnagi labelと、「他人事ではない文学」をテーマに文学誌を編む文学と汗。共に宮崎を拠点にする二組。

 

<グンジキナミ>
1990年えびの市生まれ。宮崎日本大学高等学校情報デザイン学科卒業。写真家。文筆家。文芸誌「文学と汗」編集長。2020年から横山起朗・玉利空海とともに音楽グループ「nuun」として活動開始。また本屋で長年働いてきた経験を活かし、MRTラジオ「GO! GO! ワイド」コーナー「GOGO書房 本棚からひとつかみ」にて毎週、本を紹介中。

 

ーー グンジさんが活動している写真と文筆について教えてください。

自分がやらなきゃいけなくてやってることは写真っていう、好き以前のものみたいな。自分の呼吸のように、食べる、寝る、写真撮るみたいな感じでやっていますね。好きで続けているのは、文筆ですね。達成感が違います。

 

 

ーー 同じ目線で見ていると思っていましたが、写真と文筆の考えは、違うんですね。

写真は、達成感を得るものじゃないと思っています。写真家の皆さん、写真のジャンルも違うし、私の場合は基本的にスナップ写真で目の前の世界を切り取ってただ残してるだけなので、ほとんどアーカイブに近いです。

 

 

ーー なるほど~

時間っていうのは、全部連続してるので、その時間の中でパっと切り落とした断面を見てるっていうのが、私の写真のあり方です。それがしたいので、ちっちゃい頃から写真を撮っています。それが普通だけど、作品制作かって言われたら、作品制作じゃないような気がしてて。自分の残したいものとか、今、撮らなきゃって思ったものを撮っているだけなんです。文章を書いてる時は、完全に常に他者を意識している事が多いですね。

 

 

ーー 一番最初に「文学と汗」を創刊したのはいつですか?

2020年8月が創刊でしたね。8月14日だったかな。最新号の4号は、去年4月です。一年に一回ぐらいのペースですね。今年は宮日日新聞社の連載があるから難しいので、5月25日~6月2日にギャラリー石蔵さんで展示会をすることにしました。その展示会の来場者特典は、ミニ文芸誌を来た人全員に配れるよう準備を進めていいます。来年、5号を発刊しようかなと思っています。

 

 

ーー 「文学と汗」は、小説から短歌や詩などいろんなジャンルが掲載されていますよね。執筆陣はどうやって決めているんですか?

最初の創刊の時は何もない状態だったので、この人、文章書けるなって言う人を見つける作業をしましたね。ピアニストの横山起朗さんは元々かけてたから全然よかったんだけど。そういう仕事をしてた人っていうのもプラスして、昔、作家を目指してたみたいな人を友達づてに聞いて、そういう人に自分から連絡をとったりとか、勇気出して会いにいったりとか。インスタグラムの文章が普通とはちょっと違う人に声をかけたり。
生業にしていない人や、そういう火種を持ってる人たちを燃え上がらせたいですね。ちゃんと作品として書き上げたときに、喜んだり、もっと書けたになって悔しさがあったらまた面白いと思います。

 

ーー そもそも、なぜ「文学と汗」を発刊することになったんですか?

トリマーをやめペットサロンをやめて、本屋に勤めてたんです。でもフリーターとして。大型書店に務めることになって、自分のやりたいこととか見つけていけばいいかなと思って始めたら、また本屋も本屋でものすごい大変なんですね。でも、その大変さは、私にとって良い大変さだったんです。知識が増えるし、詳しくなっていくし、実感が得られたんですよ。元々本が好きだったんですけど、だから本の中に埋もれて、自分のやりたいことを探すのいいじゃんと思って、26歳くらいまでその調子で働いていました。

その時に思ったのは、売れてるものが良いものとか全く思わないことですね。いいものは自分で探しに行かなきゃいけないと思うし、フラットに作品を読んでもらえたらいいなって思ったんですね。
知名度とかじゃないとか、有名な小説家が書いたものだから、いいじゃない。作品として見ようっていう意味で、知名度とか頼らない文芸誌。宮崎の町の人達が書いてて、宮崎のまちの私達が読むことが何よりも読んでみようかなっていう気持ちになったりとかするかなと思って。そういう意味で、他人事じゃない文学です。

そもそも文芸誌っていう形で一冊の本にすると、宮崎にいる色んな畑の人たちの意見がフラットに全部読めるというのも非常に多様性があっていいなと。文字表現であるっていうのも、すごく私はいいなと思っています。一文字から書き始めるというスタートが一緒だから。
みんな違う仕事してる人たちでも、一緒のところから書き始めてもらって、それを一冊にまとめると、いろんな人がいるんだなってカタログにもなるし。刷りたての出来立ての本が好きだから作るっていう、そこはもう一生変わらないですね。
そういう自分の本当に衝動的な好きなものがあるからこそ、それが副産物的に誰かの役に立ったりとか、そういうふうに地域に根付くことができたら嬉しいという感じで活動してます。

 

 

ーー 添削や構成などもグンジさんがされるんですか?

誤字脱字だけチェックしていますね。構成は私が読みやすい形を決めています。
手紙を書くみたいに短歌を書いてみたいっていう話があったから、手書きで載せることもありましたね。
3号辺りから「文学と汗」を知った人が自分も載せて欲しいとメールが来るようになって、それこそこの間、大学一年生の時は勇気がでなくて、大学三年生になって、ようやくゼミとかでも小説を書くようになったから応募してみたいんですがどうでしょうかっていうメールが来ました。継続をしてたから、そういう声が増えてきてありがたいです。4号は20人になりました。

 

 

ーー 凄いですね!

20人にまとめるのはすごく大変だったんですけど(笑)でも、情熱を持っている方がこんなにいると思うと嬉しいです!

 

 

ーー この一冊をまとめる力は相当なものだったと思っています。

皆さんの作品が届いたら、少しずつ順番が見えてきます。音楽のプレイリストを考えてみたいで楽しいですよ!

 

 

ーー 今後、文学と汗での目標はありますか?

あんまりゴールとか設定しないタイプだから無いけれど、やりたいが結構溜まっています。
私が何か関わらなくても、文芸イベントや文学で溢れている町になることが一番の目標だから、そういう人をつないだりとか、なにか起爆剤になるような活動したいっていうのがまず一つ。
「東京の生活史」っていう本が筑摩書房から出てるんですけど、この間「大阪の生活史」っていうのも出たんです。ハードカバーでものすごく厚い本なんですけど、「宮崎の生活史」みたいなものが作りたいですね。これはモノローグ形式なんです。
社会学者の岸政彦さんっていう人が監修してるんですけど、書いてる人や聞いてる人は一般の人なんですよ。それを宮崎でできないかなって。私が書くんじゃなくて、それぞれが聞き合って、お互いの生活を文章にして、それを集めて文学と汗で出せたら、それが永久に残って面白いんじゃないかなって思います。

これまでの文学と汗は、宮崎県立図書館さんが保存してくれています。永久保存という形になるんで、県立図書館にみんなの生活史が残ったらいいなと思っています。みんな百年後にいなくなっちゃうから。残して、次の誰かに渡したいなというのが目標ですかね。

 

 

 

ーー 出身がえびの市*とお聞きしていますが、トリマーの勉強をするために宮崎市に移ってきたんですよね?

(宮崎県えびの市* ……宮崎県南西部に位置する。2024年現在の人口はおよそ16,000人。霧島山や高原地帯に囲まれている)

実は四歳ぐらいまで宮崎市に住んでたんですよ。
一ツ葉のサンビーチや保育園も近くにあったので、よく海に行ってましたね。弟は体が弱くて、空気や水がきれいな所じゃないとダメじゃないかっていうことで、母の実家があるえびの市に引っ越しました。山の中の盆地のえびのに行って、海が全くないところに行ったんですね。当時は別に寂しいとか思わなかったんだけど、夢によく海が出てくるんですよね。

 

ーー 海を見ると、落ち着く感じですか?

多分そうですね。島之内で見た夕焼けとかすごい綺麗なんですけど、一ツ葉までつながっているのがけっこう分かるぐらい空が広いんですよね。だけど、えびの市って盆地だから全部山なんですよ。一周山だから空が上で切れるんですよね。
だからまあ、宮崎市に住めているのは幸せなことで、えびの市っていう自分のダメなところを全部吸収してくれた故郷と、宮崎市という自分の憧れている場所との往復で、自分の人生観とか自分の中の大事な物が形成されていて、どっちもすごい大事ですね。

 

 

ーー フライヤーに使われている予定の写真は、グンジさんからお借りしていて、フィルムで撮ったものとお聞きしています。どちらで撮ったものなんですか?

海の写真は、一ツ葉と都井岬、新富町ですね。緑が多い所はえびの市や宮崎市、新富町です。堤防や川は、えびの市が多いです。宮崎は宮崎でも全然景色が違います。

 

 

ーー 表情がやっぱり面白いというか、この景色に気付かなかったけど、いいなって思う景色もありました。

四季通りとかは、何回も通っているけどたまにハっとする時ありますね。疲れてる時とか、何も考えずに歩いてるじゃないですか。だけど、陽が差して街路樹の下に木漏れ日がある瞬間に、そこに地域猫ちゃんがいたりとかすると、こういうところに、私が今いたんだっていう。生活のなかに、こういうところが近くにあるんだって思うと嬉しくなりますよね。

 

※今回、陽につたうのフライヤー写真は、グンジキナミさんが撮影したものを使用させていただきました。

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宮崎で生活するなかで出会った、音楽、文学、美、食を表現する人。
共通しているのは、自分の考え方や、好きなものなどを大切にしながら、
独自のスタイルを持ちながら活動していること。
陽がつたうように皆さんの心に届いたらうれしいです。
今回は、宮崎と、宮崎にご縁のある方の出店です。どうぞお楽しみに!

ー 陽につたう ー

日にち  | 2024年5月11日(土)- 12日(日)
時 間  | 11:00~18:00
場 所  | monne porteギャラリー
住 所  | 〒859-3711 長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2187-4
※波佐見有田ICより車で5分、嬉野ICより車で15分
※駐車場無料

 

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Tatsuro Yokoyama

Piano Solo live

言葉を紡ぐように、物語の情景が浮かぶように、静謐にピアノを弾く横山起朗によるピアノソロライブ。長崎では初めての演奏になります。美しいピアノの旋律に耳を傾けていただけたら幸いです。

日時 | 2024年5月11日(土)
開場 | 18:30~
開演 | 19:30~
場所 | monne porte(長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2187-4)
料金 | 前売り 3500円 / 当日 4000円
ご予約 | Mail.  info@tsutau.net / Tel. 090-3609-6310
※5/11ライブと記載の上、「代表者名、電話番号、人数」をご予約ください。

横山起朗  |  Tatsuro Yokoyama
武蔵野音楽大学を卒業した後、ポーランド国立ショパン音楽大学にてピアノを学ぶ。現在は宮崎、東京、ポーランドを拠点に演奏と作曲活動を行い、CMやテレビ番組等の楽曲提供のみならず、他ジャンルのアーティストと音楽で携わり続ける。

 

 

お問い合わせ先:
つたう(宮崎市宮田町3-34 一文字ビル1階)
info@tsutau.net
Instagram @tsutau_2022

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